ドル/円相場は、4月2日の92.57円をボトムに、足元では98円台中盤まで値位置を切り上げる展開になっている。4月3~4日に日本銀行・金融政策決定会合が開催されたが、それをきっかけに改めてドル買い・円売りを進める動きが優勢になっている。円売り材料は出尽くしとの見方もあったが、黒田新総裁がマーケットの期待にほぼ100%応えることに成功したことで、ドル買い・円売りに安心感が広がっている。
日銀金融政策決定会合では、長期国債買い入れの拡大と年限の長期化、ETFやJ-REITといったリスク資産の買い入れ拡大、マネタリーベースを2年で2倍など、量的にも質的にも異次元の金融緩和が実現した形になっている。全く事前に予測されていなかった緩和策というわけではないが、現段階で使える政策ツールをフル活用する方向性が確認された意味は大きく、日米の金融緩和政策のパワーバランスは、従来のドル安・円高からドル高・円安支持の方向に大きく舵を切っている。これで、新たな政策対応ツールは無くなったとの懸念もあるが、今後は政策ツールでサプライズを起こす必要はなく、緩和効果を見極めるステージに移行することになる。特に、円サイドからドル高・円安傾向にブレーキが掛かる理由は見当たらない。次の焦点は、100円の節目達成でどの程度の目標達成感が出てくるかに尽きる。
一方、ドルサイドでは5日に発表された3月雇用統計がネガティブ・サプライズとなったことが注目される。足元では国内政策のインパクトが余りに大きいことで、3月の米経済指標が減速傾向を示していることは余り材料視されていない。しかし、12日の小売売上高なども下振れすると、対ユーロなどでのドル安圧力が対円市場にも波及するリスクがあることには注意が必要である。目先は、低調な経済指標が続き易く、ドル高・円安傾向は緩やかなペースで進行するとみている。
今後1週間の予想レンジは、96.00~101.00円。